幼稚園(白金) SIR-k 二階にあるホールは、大通りの歩道へと解放できる。幼児施設での内部と通りとのありようは微妙であるが、できれば、機能的にも感覚的にも緩やかに繋がっていたい。 SIR-k この園の庭は土と樹木から成っている。目黒駅に近く、喧噪とした都会ではいっそう緑の存在は大きい。 SIR-k 北と西に面した保育室は、陽光を受けた樹木と向かい合う。部屋を南に向けることのできない場合も多いが、必ずしも部屋の快適性が損なわれる訳ではない。 SIR-k 隣り合う保育室は小さな部屋を挟み込んで連続し、開放できる。ときおり開け放って行う保育や行事では、大勢の明るい声が勢いよく飛び交う。 SIR-k 二階のホールは大通りの歩道へも解放され、催事や避難時にも有効である。子どもたちが走り回ったり、コーラスの集まりに使われたり、ささやき教室にも利用されていた。 SIR-k 機能空間の代表ともいえる移動に欠かせない廊下も、立派なあそび場となる。工夫を凝らせば気の利いた空間に変わり、新たな物語が次々と展開される。 SIR-k 園舎の中ほどに、風の抜き渡る “ひろば” がある。風はいつも、変わりゆく天気や季節を連れてやって来る。 SIR-k 幼児関係の施設では、普段使いや催し用を問わず、多くの収納が必要である。限られたスペースでは収納もあそび具として、あそび具も収納として活かしたい。 SIR-k 建具を全開すると、園庭へと視線が抜ける。性格の異なる空間を結ぶこの ‘ひろば’ から、多くのあそびが生まれた。 SIR-k 天気が悪ければ青い樋から雨水が流れ落ち、晴れていれば日光が差し込む。半屋外の広場から、二階のホールへ移動する動線の途中にこの吹き抜けを配した。
幼稚園新棟(福生) SEI-k 二歳児と学童保育の子どもたちのために新たに増築された。赤ん坊から抜け出した二歳児と、幼児から児童になった子どもたちの交流はほのぼのとしていて、おもしろい。 SEI-k 屋根のある走り回れるほどのデッキを作った。子どもたちは、土の園庭とはまた違ったあそびを創りだす。 SEI-k 視界や音漏れなど周囲に窓を設けられない事情もあり、半屋外の ‘なか庭’ 側 に開く保育室を設けた。なか庭は思いのほか明るく、外の園庭とはひと味違った風景を生み出した。 SEI-k なか庭の両側には、はす交いに保育室が配置され、互いに異なったクラスの活動をかいま見ることができる。幼い子どもにとって ‘他’ を認識することは、知らなければならない最も大切なことのひとつである。 SEI-k 保育室の片隅にたたみのコーナーがある。誰にを気にすることもなく、ひたすら白雪姫を読み耽っている女の子がいたことがあった。 SEI-k SEI-k SEI-k SEI-k ただの四角い部屋があっても ‘あそび’ はなかなか起こらない。何かのしつらえを施すことによって、子どもたちの創造力は一気に活性する。 SEI-k
幼稚園増築棟(横浜) HAR-k HAR-k 既存園舎の北側にあった園バスの駐車場の上に、急きょ保育室を増設した。 工期短縮のためスチール造としている。 HAR-k 階段の斜めの線を消したい場合も時には生じる。縦の線を強調することによって調子を整えた。 HAR-k HAR-k 増設の場合、選択の余地なく保育室が北側に配置されることも多い。北側の部屋に天窓は有効であるが、それよりも、空が見えるとなんとはなしに楽しい。 HAR-k 壁や床は家具や設いによって様相が大きく変化するが、天井は何年経っても変わらない。天井は大事にしたい。
幼稚園ホール棟(横浜) KAT-hall 一階はピロティー式(吹きさらしになった外部空間)の駐車場、二階にホールを新設した。新たな土地取得が困難な場合、このように複合的な構成になることが多い。 KAT-hall KAT-hall 木質で仕上げた壁や天井は、やはり雰囲気が柔らかい。人にとって ‘木’ の説得力は絶大、もともとひとの遺伝子に組み込まれているのかもしれない。 KAT-hall KAT-hall 組み立て式のステージをバックヤードに収納。 普段は少しでも広く使いたい。 KAT-hall
幼稚園耐震補強/改修 耐震補強/改修-幼稚園 山小屋園舎と呼ばれて長年親しまれてきた木造園舎を、木のブレース(筋交い)を用いて耐震補強を行った。 天井を取り除いて大きな梁を露出させると、ダイナミックなそれでいて暖かみのある空間に変身した。 耐震補強/改修-幼稚園 その昔不浄であったトイレも、昨今の日本では衛生も向上し、そのイメージは少なくなった。 建築基準法でいうトイレは‘居室’ではないが、特に幼児の施設においてはもはや居室に近い。 耐震補強/改修-幼稚園 鉄筋コンクリート造園舎の耐震補強工事。 このような工事は夏休みに行われることが多く、休み空けに登園してきた子どもたちは一様に驚くが、その気付きは親より早い。 耐震補強 スチールで行った耐震補強。柱と梁から伝わる変形力をスチールの補強材に一様に伝えなければならないので、精度よく納めなければならない。
その他 おもて門扉 門は公共の場と私有の場との境を暗示する結界であるが、幼稚園にあっては互いを否定するものであってはならない。丈夫であっても軽快で親しみやすく、そして、立体感を持たせたかった。 池-perk 人や樹木と同様、あるだけで一段と建築を引き立たせてくれるのが ‘みず’。 それほど‘みず’は人間の感性を直接刺激する。 じゃぶじゃぶ池 みず場 子どもたちは水が大好き。透けていて自由で、するりと指の間から抜け落ちる。 カウンター 保育所の受付カウンター。幼児施設の受付は、明るく健やかでありたい。
あそび あそび 1 元気に走り回る子どもの姿は、幼稚園の定番の一こま。子ども達は遊ぶのが仕事です、とは20年前にお会いしたある幼稚園の園長先生のおことば。 あそび 2 子どもたちのいろいろな 'あそび' がさらに発展し、さらに創造的になるような設えを建築に融合させたい。そんな想いであそび具をつくってきた。 あそび 3 子どもたちが何かを凝視している姿を見かけることは、多い。年を重ねるにつれ、純粋な想いで物事を見つめることが少なくなってゆく… あそび 4 子どもたちもみんなそれぞれの独自の世界を持っている。静かなるあそびを誘発するようなあそび具をもっと作りたいと思うが、これが難しい。 あそび 5 狭いところ低いところ、無理な体勢も子どもには関係がない。筋力は小さいが、体重が少ないので重力から受ける影響も小さい。 あそび 6 あそび具は、作りすぎるとろくなことがないのはよくわかる。 けれども、その一歩手前で止めるのが難しい。 あそび 7 もちろん、作るほうだって子どもたちがどのようにあそんでくれるのか考えてはいる。 想像通りに元気にあそんでくれるとそれは嬉しいが、思わぬあそび方をしてくれると、さらに嬉しい。 あそび 8 ときおり子どもたちが仕事をしているのを見かけることがある。いつにも増して真剣そのものである。,その生産的なあそびでは、幼さの中にも次世代を担う逞しさが感じられる。